高齢者うつ病 原因

高齢者うつ病の原因

うつ病の誘因は大きく2種類に分けられます。重大なライフイベントと慢性的なストレスです。

 

ライフイベントの例としては、“重要な他者”の喪失や死別(ペットも含む)、自分や身近な人が生命の危機にさらされること(病気など)、家族や友人とのいさかい、急性の身体疾患、住み慣れた家を離れること(施設入所や、子との同居に伴う転居など)、深刻な経済的危機などがあります。

 

慢性的なストレスには、健康の減退、感覚喪失、認知機能の低下、行動力の低下(依存性の増加)、居住環境の問題(同居家族との問題など)、経済的な問題、社会的役割の低下(退職など)、家族の介護、社会的孤立などがあります。

 

概して高齢者の生活は、近親者との死別や身体機能の低下など、大小の喪失体験に囲まれています。その意味で高齢者がうつ状態に陥ることは「理解できる」ことも多いのです。

 

しかし、うつが「理解できる」ことはうつ病を治療しなくてよいということにはなりません。誘因が何であれ、うつ病はうつ病として治療が必要であり、適切な社会支援や、薬物療法、精神療法を行わなくてはなりません。

 

統計的に裏付けられた老年期うつ病の危険因子は、女性であること、過去のうつ病の既往、配偶者との死別・離婚です。加えて上述した誘発因子を体験した人はリスクが高いと考えられています。

 

病気にかかっている人や身体機能障害がある人はうつ病になりやすいと言えます。また、そうした人の介護に当たっている人もうつ病になりやすいので注意が必要です。

 

周囲の人との信頼関係はうつ病の大きな要因です。それまでに他者と信頼できる関係を築くことが困難であった人は、老年期に孤立しやすく、うつ病に陥るリスクが高いとされます。

 

細かい性格や依存的な性格など、パーソナリティ傾向は老年期に顕著になりやすく、人間関係に影響を与えます。

 

近親者と最近死別した人は、とくに注意が必要です。死別後に一時的にうつ状態になることは自然なことで、「悲嘆反応」と呼んでうつ病とは区別されています。

 

そのような場合には、頻繁に訪問して患者を支えることが大切です。
しかし、次のようなときには、うつ病を疑って受診勧奨をすることが望ましいでしょう。

 

  • うつ症状の遷延(重篤な抑うつ症状が6ヶ月以上続く)
  • 自殺念慮(死んだ人と一緒になりたいという強い願い)
  • 迫害的な罪悪感(死を避けるためにもっとなにかできたのではないかという自己批判にとどまらない罪悪感)
  • 精神運動制止
  • あらゆるものを変わらないようにして悲しみをとどめておくこと(“ミイラ作り”と呼ばれることもある)。
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